弁理士の就職・転職 |2022年10月01日
弁理士は、特許事務所(弁理士事務所)と、企業の知財部などが主要な就職・転職先となります。
職種としては、理系、文系により異なるほか、海外業務や事務・管理職種などがあります。
弁理士の資格を取得するには、弁理士試験に合格したのちに、実務修習を終了するルートが一般的です。
弁理士登録をすれば、独立開業をすることもできますが、実務を経験しないと独立は難しく、特許事務所などへの就職を考えるのが普通です。
求人サイトでの募集
特許事務所、企業の知財部の求人は、東京、大阪などの大都市や、全国の主要都市では、求人サイトや人材紹介会社を通じて、見つけることも可能です。
求人サイトで、弁理士で求人を検索してみると、東京・大阪などの大都市や、地方の主要都市などで、大手特許事務所、企業の知財部の求人が出ています。
地方でもときには、弁理士や特許技術者の募集をしていることがありますが、大都市偏重の業種であるといえます。
企業の知財部などが東京はじめ主要都市に偏在していることが理由です。
弁理士事務所は、大都市の大規模、中規模事務所を除くと、平均的には小規模な事務所が多いものです。
年収などの面での待遇は、事務所の規模や業務によりまちまちです。
地方の場合や、弁理士資格取得前、未経験の文系の場合などには、必ずしも希望するような事務所への就職は、簡単ではないかもしれません。
求人サイトでの募集は、一般企業の法務、知財部などの求人も見てみるのもよいでしょう。
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会員分布状況 日本弁理士会
日本弁理士会会員の分布状況 (2022年04月30日現在)[PDF] 日本弁理士会
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知財専門の人材エージェンシーが就職・転職の王道
知財専門の人材エージェンシー、転職エージェンシーは、弁理士や法律資格者、法務部員などの就職にはもっともおすすめです。
一般の求人サイトや、事務所の直接募集のほかに、転職エージェンシーに登録して探すのがよいでしょう。
転職エージェンシーの利点は、専門の担当者がつくこと、特に知財業界の担当者は、主だった特許事務所、弁理士事務所や、知財部の特徴、働き方や条件、職場環境、経営者弁理士などの実情をよく知っていることです。
就職・転職希望者の希望・志向や、適職探しには強い味方となるはずです。
弁理士の各会派が、就職・転職に役立つことも
弁理士業界には、いわゆる会派というものがあります。
日本弁理士会を運営するための会長・副会長選挙などで、派閥としての活動をするため、旧態依然としたイメージもあり、近年は無会派の弁理士も増えました。
ただ、弁理士登録後に日本弁理士会の役職や担当に就くのに有利なほか、業務の研鑽や研修、親睦、その他の活動を行っています。
会派には、下記のものが知られています。
日本弁理士クラブ
・PA会
・弁理士春秋会
・南甲弁理士クラブ
・無名会
・稲門弁理士クラブ
弁理士連合クラブ
・弁理士クラブ
・弁理士同友会
・西日本弁理士クラブ
各会派では、弁理士試験の模擬口述試験や、合格発表後の合格祝賀会などを開催しています。
合格祝賀会は、各会派の会員集めの意味があるとともに、祝賀会や研修などの機会に、参加者の事務所への就職を世話されるなど、求人サイトには募集を出さなくても、縁故で就職先を見つけられるケースがあります。
弁護士事務所勤務は、ときには狙い目
知財業務を行っている弁護士事務所で、弁理士の募集があったり、知財業務を行う弁護士の補助者として就職できるケースがあります。
弁理士の募集ではない場合でも、弁理士資格を保有していることを面接の場でアピールし、採用に有利になるかもしれません。
知財業務がメインではない事務所であっても、弁護士事務所の補助者として実務を経験することは、大きな経験となります。
勤務先となる弁護士の考え方や事務所の方針、求人の内容などにもよりますが、うまくいけば、弁理士としての仕事をしながら勤務してもよいという条件を得られる可能性もあります。
既に会社などに勤務中の場合
弁理士試験では、働きながら受験をする人も多く、もともと特許事務所や、関連する知財業界などで勤務していた場合には、資格を保有してそのまま勤務を継続することもあるでしょう。
会社に勤務しながら弁理士試験に合格した場合には、既に勤務している状況にあります。
この場合、勤務先が弁理士資格保有者を歓迎するような職種、制度であれば、弁理士試験に合格したことを報告することができます。
もしかしたら、職種の異動などを希望できる可能性もあるでしょう。
弁理士資格取得前の就職
弁理士業界では、弁理士資格がない場合でも、理系の場合には特許技術者、外国語が堪能な場合には海外業務などの職種に就くこともできます。
特許技術者は、特許や実用新案の明細書作成をする弁理士の補助業務です。
一般企業では実際に研究開発に携わる技術者が明細書の案の作成まですることが多いため、特許技術者の就職先となると弁理士事務所にほぼ限られます。
弁理士試験合格前に、知財業界に就職・転職を考える場合には、次の注意が必要です。
特許技術者の場合には、企業の知財部ではなく、特許事務所が主たる進路となること。
したがって、短答式試験に合格し、弁理士資格の取得に自信があるなど、相当程度の知識を得てから、知財業界への就職を考えるべきでしょう。
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知財業務が未経験の場合
知財業務が未経験の場合には、自分の適性などもまだわかっていないことが多いもの。
知財業界に就職・転職を考える場合には、次の注意が必要です。
弁理士事務所の特許技術者の場合には、あくまでも弁理士の補助者であること。
そして、企業の知財部ではなく、特許事務所が主たる進路となるため、今後の進路設計にあたっては十分に考慮しなくてはなりません。
未経験の文系の場合は事務職員も
文系の場合には商標、意匠のほか事務職での職種などがあるものの、大手事務所以外には求人は少ないです。
理系の技術者とは違い、知財業務が未経験の事務職種となると、就職・転職市場でのスキル・経験などのアドバンテージが少ないと、自覚するべきです。
文系であっても、知財の法律知識や、英語など外国語能力、情報処理能力などを身につければ、有利にはなります。
しかし弁理士登録ができないでいると、事務職種から先にはなかなか進めません。
短答式試験に合格し、弁理士資格の取得に自信があるなど、相当程度の知識を得てから、知財業界への就職を考えるべきでしょう。
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■このページの著者:金原 正道