電力卸売価格(JEPX)の高騰と電気料金比較について調べる |2021年01月24日
2020年12月下旬から、2021年1月現在も、電力卸売価格の高騰が続いており、ニュースを賑わせています。
このため、電力自由化に伴い消費者との契約を伸ばしてきた新電力各社は、電力の仕入れ料金高騰に頭を悩ませ、様々な対応に追われていることが報道されています。
日本卸電力取引所(JEPX)の電力価格の高騰
「寒波や発電燃料不足を背景に急騰した卸電力のスポット価格が、高値圏で乱高下している。新電力などがペナルティーの『インバランス料金』を避けようと市場で高値購入しているためで、相場は1カ月前の約5倍の水準で推移している。」
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO68392790R20C21A1QM8000/
2021/1/22付日本経済新聞 朝刊
卸電力取引市場は、2003年に設立された日本卸電力取引所(JEPX)において運営されています。
日本卸電力取引所では、一日前市場(スポット市場)と、その後の調整市場として当日市場(時間前市場)を開設しています。電力自由化の進展に伴い開設された市場です。
電力価格の高騰の要因
今回の電力高騰の背景としては、いろいろな要因がいわれています。
火力発電燃料の多くを占めるLNG(液化天然ガス)が、アジアの寒波による電力需要の増加や、パナマ運河の船舶渋滞などにより、輸送・輸入が遅延していること。
既存の大手発電事業者による燃料調達の遅延が起きていること。
日本国内の大雪による太陽光発電量の低下。
一方で、寒波やテレワークにより電力需要が増加しており、電力供給量が需要に対しひっ迫しており、電力卸売価格の高騰はしばらく続き、不安定となることが予想されています。
市場連動型の電気料金プラン
特に注意を要するのが、電力自由化以降、新しい電気料金プランとして誕生した「市場連動型プラン」。
市場連動型の電気料金プランは、電力卸売価格に連動して料金単価が決まるものです。
本来は卸価格の安い時に仕入れることで電気料金の節約することを目的としたものですが、市場連動型プランを取り扱う小売電気事業者が複数あり、今回の価格高騰による対応に苦慮しています。
市場連動型プランの新電力の契約件数は、およそ80万件にのぼるといわれています。
新電力各社の、市場連動型プランへの対応として、電力会社が負担する、消費者への価格転嫁を制限するなどの対応措置が公表されています。
新電力の市場連動型プラン対応措置の一例
自然電力「電力取引価格高騰に関する重要なお知らせ」
ハチドリ電力「電力取引価格の高騰に関するお知らせと対応について」
みんな電力「卸電力市場の価格高騰に伴う2月以降の電気料金への影響と対応につきまして」
テラエナジー「電力市場高騰による電気料金への影響について」
ダイレクトパワー「電気代高騰に関する重要なお知らせ」
政府も対策に乗り出すことを明らかにしましたが、消費者への負担や、新電力各社の経営状況など、今後の動向を注視する必要がありそうです。
電気料金プランの比較、電力会社の乗り換えの検討
新電力各社が皆、市場連動型プランを採用しているわけではありません。
市場連動型ではない電気料金を採用する新電力の一例
auでんき
ソフトバンクでんき
ENEOSでんき
東邦ガスグループの電気
東京ガスの電気
Looopでんき
楽天でんき
東急でんき&ガスのでんき
HTBエナジー(HISでんき)
eoでんき
[PR]エネチェンジで電気代を見直す
JEPXの卸価格の高騰の影響をすぐに受けるわけではありません。しかしこの場合でも、各電力会社が電源調達に卸電力取引市場での取引を利用しており、電力仕入れのコストが上昇することも起きています。
自分の利用している電気料金プランがどのようになっているか、価格高騰の影響を受けにくい電力会社の見直しなど、確認し、必要があれば電気料金の比較、電力会社の乗り換えなどを検討することが大切です。
電力各社の電気料金比較サイト
エネチェンジ(ENECHANGE株式会社)
エネチェンジは、国内最大級の電力比較サイトを運営し、東京証券取引所に2020年12月に上場しました。
2016年4月から始まった電力小売自由化によって、契約する電力会社を自由に選べるようになったため、電力比較サイト「エネチェンジ」では、電力会社の比較、切り替えの情報を提供しています。
「エネチェンジ電力比較」では、電気契約者の地域、利用状況を元に、料金シミュレーションを行うことができ、最適な電気料金プランをランキング形式で紹介します。
さらに電力会社の契約切り替えがワンストップでできる無料サービスや、直接電力会社に申し込むよりもお得な、エネチェンジ限定特典があります。
単に電気代を安くして、節約がしたいというニーズだけではなく、電気会社を選びたい、再生可能エネルギーを利用したいというニーズにも対応しています。
でんきの比較インズウェブ(SBIホールディングス株式会社)
でんきの比較インズウェブでは、電気代を賢く節約するための比較サイトを提供しています。
電力会社一括比較機能では、複数の電力会社プランを無料で一度に比較して、最安値の電力会社を選ぶことができます。入力した情報から正しく試算結果を出すことに力を入れています。
さらに、比較から申込までをネットで行うことができ、インズウェブから申し込むとギフト券やキャッシュバックがあるなどのキャンペーン特典も用意される場合があります。
電力会社を切り替えても送電会社は変わらないため、従来の送電網を利用して、安定的な電力供給を受けられることには変わりありません。
「エネナビ」(株式会社ポケットモバイル)
「エネナビ」は、地域と電気の利用状況をにより、電気料金シミュレーションを行うためのサイトです。
それぞれの家庭に最適な電気料金プランを紹介し、電力会社の契約切り替えをワンストップで行えるサービスを提供しています。
高圧・法人向け電気料金比較サイト「スイッチビズ」(株式会社グッドフェローズ)
「スイッチビズ」は、高圧・法人向けの電気料金比較サイトです。
家庭向けの電気料金比較サイト「タイナビスイッチ」の姉妹サイトとして、新電力への切り替えを検討する高圧・特別高圧の需要家のために、最大5社の新電力から、ニーズに合った見積を取得し、提示する機能があります。
オフィスビル、病院・福祉施設、コンビニ・スーパー、工場・倉庫、マンション、商業施設など、高圧・特別高圧の電力契約をされている事業者の電気料金の削減のためのサイトです。
高圧・特別高圧分野での電力小売自由化は2000年から段階的に進められてきましたが、今回の電力卸売価格の高騰もあって、コスト削減の必要性が高まっており、注目を集めています。
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■このページの著者:金原 正道