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国立国会図書館・個人向けデジタル化資料送信サービス-ariadnet

国立国会図書館・個人向けデジタル化資料送信サービス |2022年05月21日

国立国会図書館では、2022年5月19日から、「個人向けデジタル化資料送信サービス」(個人送信)を開始しています。

このサービスは、著作権法の一部を改正する法律(令和3年法律第52号)の施行に伴い、開始されたものです。

令和3年改正著作権法について

この著作権法改正では、図書館における複製等について、下記のように規定されました。

(図書館等における複製等)
著作権法第31条
(中略)
4 国立国会図書館は、次に掲げる要件を満たすときは、特定絶版等資料に係る著作物について、第二項の規定により記録媒体に記録された当該著作物の複製物を用いて、自動公衆送信(当該自動公衆送信を受信して行う当該著作物のデジタル方式の複製を防止し、又は抑止するための措置として文部科学省令で定める措置を講じて行うものに限る。以下この項及び次項において同じ。)を行うことができる。
一 当該自動公衆送信が、当該著作物をあらかじめ国立国会図書館にその氏名及び連絡先その他文部科学省令で定める情報を登録している者(次号において「事前登録者」という。)の用に供することを目的とするものであること。
二 当該自動公衆送信を受信しようとする者が当該自動公衆送信を受信する際に事前登録者であることを識別するための措置を講じていること。

上記条文は、国立国会図書館が、絶版等資料(3月以内に復刻等の予定があるものを除く)のデータを、事前登録した利用者(ID・パスワードで管理)に対して、直接送信できるようにするものです。

利用者は、国立国会図書館のウェブサイト上で、資料を閲覧できるようになりました。
ただし、実際に送信対象とする資料は、当事者間協議に基づく現行の運用を尊重し、漫画・商業雑誌等を除外する運用で開始されています。
利用者側では、自分で利用するために必要な複製(プリントアウト)や、非営利・無料等の要件の下での公の伝達(ディスプレイなどを用いて公衆に見せること)が可能です。

「絶版等資料」は、法律上、「絶版その他これに準ずる理由により一般に入手することが困難な図書館資料」と定義されています(著作権法第31条第1項第3号)。
ここで、「絶版」はあくまで例示に過ぎず、絶版か否かに関わらず、現に「一般に入手することが困難」と言えるかどうかによって判断されます。

「絶版等資料」になる例:
紙の書籍が絶版で、電子出版等もされていない場合
将来的な復刻等の構想があるが、現実化していない場合
最初からごく小部数しか発行されていない場合(例:大学紀要、郷土資料等)

「絶版等資料」にならない例:
紙の書籍が絶版だが、電子出版等がされている場合
単に値段が高く経済的理由で購入が困難である場合
海外から取り寄せる必要があるなど、入手までに一定の時間を要する場合

各図書館等は、個別の送信ごとに利用者から補償金を徴収し、一括して指定管理団体に支払い、指定管理団体が各分野の権利者団体などを通じて権利者・出版社に分配することとされました。

個人向けデジタル化資料送信サービスの利用方法

個人向けデジタル化資料送信サービス(個人送信)は、国立国会図書館のデジタル化資料のうち、絶版等の理由で入手が困難なものを、インターネットを通じてご自身の端末(パソコン、タブレット)等でご覧いただけるサービスです。

個人向けデジタル化資料送信サービス国立国会図書館 外部サイトへ

利用できる方
以下のすべてに該当する方が利用できます。

国立国会図書館の「登録利用者(本登録)」である方
日本国内に居住している方
最新の個人向けデジタル化資料送信サービス利用規約(PDF: 285KB)に同意している方

利用できる資料
国立国会図書館デジタルコレクションで提供している資料のうち、絶版等の理由で入手困難なもの(著作権者等の申出を受けて、3か月以内に入手困難な状態が解消する蓋然性が高いと当館が認めたものを除く。)が対象です。
具体的には、図書館向けデジタル化資料送信サービスで送信対象とされている資料の範囲内のものです。

利用方法
1 利用者登録を行います。
2 利用規約に同意します。
3  国立国会図書館オンライン、国立国会図書館デジタルコレクションで資料を検索、閲覧します。
4 「公開範囲」が「国立国会図書館/図書館・個人送信限定」となっているものは、ダウンロード等の利用が可能です。

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■このページの著者:金原 正道

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