司法試験予備試験 |2022年06月15日
法務省が公表している「令和3年司法試験の結果について」のページにある、「法科大学院等別合格者数等」の最終ページに、司法試験予備試験の合格者統計が出ています。
予備試験合格者の大半が、司法試験にも合格しています。
予備試験自体の合格率は5%前後なので、厳しい門のようにも思えますが、ここを通過できれば合格率が高いのであれば、法科大学院経由ではなく予備試験経由での合格を目指す方法も、人によってはありだと思います。
特に、法科大学院に入学・通学できない事情のある場合や、仕事をしながら勉強している場合などには、検討の余地があろうかと思います。
合格者内訳を年齢別に見ると、20代前半が最も多く、年齢が上がるにつれて減少しています。
職種別の合格者内訳をみると、公務員、会社員、法律事務所事務員、自営業など、法科大学院に通うのが時間的に難しいであろう受験者が、一定数いることがわかります。
一方、興味深い点としては、大学生が圧倒的に多く、次いで法科大学院生が多く、この両者だけで2/3程度を占めていることがわかります。
法科大学院生の立場からすれば、予備試験を受けなくても司法試験を受けられる可能性が非常に高いにも関わらず、予備試験を受けるのは、卒業まで待たずに司法試験を受けたい、あるいは法科大学院とは別個に司法試験の受験資格を確保しておきたい、といったことが考えられます。
日頃から法科大学院で勉強をしているので、受けておかない手はないということもあるのでしょう。
大学生については、卒業後に法科大学院への入学を考えている人の中には、上記と同じ考えの人もいるでしょうし、法科大学院には行かない、あるいは行けないという状況の中で、あえて予備試験を選択しているといえるかと思います。
令和3年司法試験の結果について 法務省
法科大学院等別合格者数等[PDF] 法務省
令和4年司法試験予備試験短答式試験の結果
受験者数等
(1) 出願者 16,145人
(2) 欠席者 3,141人
(3) 受験者 13,004人
(うち途中欠席122人)
(4) 受験率 80.5%
(注)受験率とは、出願者に占める受験者の割合である。
(5) 採点対象者 12,882人
2 短答式試験の合格者
(1) 合格点
各科目の合計得点159点以上(270点満点)
(2) 合格者数
2,829人
(3) 合格者の平均点
175.0点
予備試験の短答式試験の結果を見ると、平均点が科目により満点の半分前後。
得点はかなりばらけているものと見られます。
令和4年司法試験予備試験短答式試験結果 法務省
令和4年短答式試験結果[PDF] 法務省
令和3年司法試験予備試験論文式試験の結果
1 受験者数 2,633人(うち途中欠席14人)
2 採点対象者 2,619人
3 合格点 240点以上
4 合格者数 479人
5 採点対象者の最高点等
(1) 最高点 351.14点
(2) 最低点 11.31点
(3) 平均点 197.54点
(注)最低点については,白紙答案等により合計得点が1点未満の者を除く。
予備試験の論文式試験の結果を見ると、やはり得点がかなりばらけていることがわかります。
一応、受験してみた人や、勉強はまだ進んでいないが受験した人なども含まれているため、このような結果になっていることが見てとれます。
そうすると、何が何でも合格する覚悟で予備試験の勉強に臨み、一定のレベルに達している人の合格率は、それなりに高くなっているのではないでしょうか。
発足当初から批判的な意見も見られた法科大学院ですが、予備試験経由での合格を目指す方法も、人によっては検討する価値がありそうです。
ただし合格率を見ればやはり難関資格であることと、試験範囲が広く、短答式試験では一般教養も含まれ、その中には理系問題もあるなど、相当の準備をしなければならない関門ではあります。
令和3年司法試験予備試験論文式試験結果 法務省
令和3年論文式試験結果[PDF] 法務省
関連ページ:
■このページの著者:金原 正道