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すべての資格試験に共通する、短期合格方法 |2022年07月02日

すべての資格試験には、共通する短期合格のポイントがあります。

短期間で集中して勉強を続けること、勉強・忘却・知識の定着のサイクルを繰り返し、忘却を少なくすること、一定期間内に科目の重要度・知識の定着度に応じてすべての科目を繰り返すこと、に尽きます。

このポイントについて説明します。

弁理士試験で体験した短期合格のための勉強スケジュールの大切さ

筆者は、弁理士試験に3回目で合格しましたが、合格率約3%という難関の時で、しかも口述試験にはほとんどの人が受かるという状況だった時期に、論文試験に2回目で合格したにもかかわらず、その年は口述試験に落ちました。

1回目 短答試験不合格(自己採点で数点足らず)
2回目 短答試験合格、論文試験合格
3回目 口述試験合格
という、あまり思い出したくない道をたどったわけです。
しかし最終合格の1998年頃においては、短期合格だったと思います。

筆者自身の体験はともかくとして、勉強を開始して間もない頃から、短期合格をするためには、どの時期に何をしたらよいか、相当考えてスケジュール表を組みました。

最初から、何年もかかっていつかは合格できればよいというスケジュールを組んだのでは、合格は遠のきます。
もちろん、働きながら勉強している、家庭の事情で時間がとりにくいといった、個別の事情がそれぞれにあると思います。
ただ、短期合格をするために、短期間で集中して勉強を続けることは明らかに有利である、この点について説明します。

短期合格ができるかどうかは、勉強量・忘却量と知識の定着と、時間の経過との関係で決まる

弁理士試験に合格して間もなく、筆者は初めてのウェブサイトを制作し、そこに「あきらめないで弁理士になる方法」という記事を書きました。
今読むとたいした内容でもないですが、下記の点については、「勉強量・忘却量と知識の定着と、時間の経過との関係」を説明する内容であるため、引用します。

「『あきらめないで』とは続けることですが、それもある程度短期間で集中して勉強しなければなりません。
人間は、忘却する動物だからです。
たとえば、1か月に100時間勉強する人と、1か月に50時間勉強する人との2人がいるとします。合格までにどれだけの差があるのでしょうか。2倍でしょうか。違います。
1年間の勉強量が、1000:500に対して、1年間の忘却量が250:250とします。したがって差し引き、750:250が記憶として残り、合格までの時間数では3倍になります。
1か月に250勉強している人は、忘却が250として、記憶と忘却が均衡していますから、毎年受け続けることになるのです。
たいへん乱暴な説ですが、実情に近いと私は見ます。もちろん個人差や、そのおかれた環境、勉強方法の善し悪しなどが影響します。」
https://kanehara.com/archives/88.html

勉強量・忘却量と知識の定着と、時間の経過との関係

この点を、もう少し単純にわかりやすく、グラフを作成したので説明します。
グラフの縦軸は定着した知識の量、グラフの横軸は経過する時間です。

仮定の話になりますが、一定時間勉強をした後に、同じ一定時間だけ勉強を休んだ場合には、獲得した知識の半分が忘却されるとします。
赤、青、緑のすべての線において、そのようになっています。

勉強量、忘却量と時間との関係

赤色の線は、一定時間勉強をした後に、同じ一定時間だけ勉強を休んだ場合という、ごく普通の勉強方法です。
「いや、休まないで勉強しているよ」と思うかもしれませんが、各科目(各法律)ごとにこのような知識量と時間との関係が成立しているので、民法を終えて商法も勉強しているときには、民法の知識は忘却していくという話です。

短期合格を目指したスケジュールをたて、短期間で集中して勉強を続けるべき理由

勉強量が少ない場合、たとえば時間がとりにくいなどの理由で、最初から短期合格はあきらめて長期を視野に勉強した場合は、青色の線になります。

赤色とは同じ期間勉強しているにもかかわらず、一定期間内での勉強時間が少ないために、知識の定着量が少なくなっています。
それでいて、一定期間、その科目の勉強を休むと、獲得した知識の一部は忘却していきます。

事情があって勉強時間がとれないなど、やむをえない点は理解できるのですが、不利であることには間違いありません。
それでも長期的に合格できればよいのですが、毎年、新しい受験生が出現してきます。
毎年毎年、新しい受験生に追い抜かれてしまった場合には、いつまでたっても合格できないという最悪のケースでさえありえます。

すべての科目について、一定期間内に、勉強・忘却・知識の定着のサイクルを繰り返す必要がある理由

したがって、短期合格をするためには、赤色の線で示したように、すべての科目について、勉強・忘却・知識の定着のサイクルを繰り返すことになります。

しかし、忘却を少なくするためには、すべての科目について、1週間とか2週間といった単位で、スケジュールを考えて”科目を回す”必要があります。

グラフでは、知識の忘却も直線的に描きました。
しかし、勉強をしないで1か月以上も経過すると、忘却は進むと思いますが、1週間か2週間休んだくらいでは、実際にはそこまで忘却は進まないように思います。

したがって、できれば1週間ごとにすべての科目について勉強をする、たとえば曜日ごとに科目を決めて、1週間で”すべての科目を回す”、あるいは科目の重要度・知識の定着度に応じて、”重要科目は1週間ですべての科目を回し、その他の科目は2週間ですべての科目を回す”といった方法がきわめて有効になります。

忘却の時間を少なくするための方法

忘却の時間を少なくするためには、試験に必要なすべての情報がコンパクトに詰まったテキストを携行し、休憩中、移動中などのスキマ時間には読むようにするといった方法があります。
また、オンラインでの学習などにも、スキマ時間を活用できる方法があります。

たとえば今週は民法と商法と決めたスケジュールで勉強をしているが、スキマ時間には他の科目の勉強を行って、知識の忘却を防ぐということです。
これがグラフの緑色の線になります。

知識の定着度に応じ、勉強のスケジュールを修正し、応用への対処力を身につける

知識の定着は、人により、得意科目・不得意科目によって差があります。
過去問を解いたり、資格予備校の問題を解いたりする中で、どの科目により重点を置くべきかがわかってくると思います。

勉強のスケジュールはまず最初に立てるべきですが、勉強の進行度合いに応じ、試験の実施日程から逆算して、修正していく必要があります。

勉強のスケジュールは、科目の重要度・知識の定着度に応じてすべての科目を繰り返すこと、に尽きますが、知識の定着が進んできた科目から、答案練習や、論文試験の答案構成など、より応用力・実践力が試される勉強を取り入れていくべきです。

特に論文試験のある司法試験、弁理士試験や、書式問題のある司法書士試験では、応用力が問われます。
しかし、基本の知識が定着した後でなければ、こうした出題には対処できないことも現実です。

短答式試験、択一式試験で、合格レベルにはまだちょっと足りないくらいの頃から、論文試験や書式問題の過去問研究、答案構成などの練習を始めるのがよいでしょう。

論文試験では、問題を読む、論点や条文を把握する、答案構成、実際に論文を書く、というプロセスを経て解答を書いていきます。
その中で、論点や条文を把握し、答案構成するという過程がもっとも重要な、合否を決めるポイントとなります。

論点や条文を正確に把握できるレベルにまで達したら、もうすでに最終合格に向けてのスケジュールに乗って勉強を進めるべき段階となります。
逆にまだ論点や条文を正確に把握できないとなれば、短答式試験、択一式試験には合格するための知識の定着を図る勉強を繰り返すということになるのです。



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■このページの著者:金原 正道

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