司法書士試験の難易度、勉強時間と、過去問題 |2022年06月15日
司法書士試験は、難関資格で、勉強時間が3000時間程度は必要だといわれています。
合格率は近年、4~5%程度で推移しています。
合格者の受験回数など、公式の統計は出ていませんが、LEC東京リーガルマインドの調査では、1回目で合格する人も1割弱はいるものの、3回程度受験する人が普通で、5回以上の受験者もかなりの数にのぼっています。
3年以内での合格を目指す、あるいは2回目で合格できるならば、短期合格といえるのではないでしょうか。
司法書士試験の出願傾向の特徴
司法書士試験は、その出願傾向の特徴をあげれば、下記の2点に集約されると思います。
出題範囲の広さ
午前の部は、2時間の試験時間で、下記の法令が択一式により出題されます。
憲法/民法/商法/刑法 合計35問(105点満点)
午後の部は、3時間の試験時間で、下記の法令が択一式で出題され、さらに記述式の問題があります。
択一式
不動産登記法/商業登記法/民事訴訟法・民事執行法・民事保全法/供託法/司法書士法/
合計35問(105点満点)
記述式
不動産登記法書式
商業登記法書式
各1問(70点満点)
実務的出題の多さ
択一式試験でも、特に午後の部では、実務に近い手続的な問題や、登記に必要な要件などを問う出題が多くあります。
さらに、不動産登記法、商業登記法の書式に関する記述式問題は、実務に即した試験内容となっており、細かい法令の知識が問われます。
記述式問題の得点分布のばらつきを見ても、かなりの関門といえるのではないでしょうか。
令和3年度司法書士試験筆記試験(記述式問題)得点別員数表[PDF] 法務省
司法書士試験問題に見るテキスト選びの基本
午前の部の択一式試験科目のうち、憲法、刑法は問題数も少なく、しかも他の試験科目との関連性が低いものです。
かつては法律の資格試験といえば、各科目の法律の基本書を使うのが一般的でしたが、それでは少々時間がもったいなさすぎます。
不動産登記法、商業登記法に関しては、それぞれ民法と、商法、会社法とを勉強してからでないと、勉強に進めません。
これ以外に、民事訴訟法、供託法などがあります。
午前の部でも、民法に関してはまんべんなく広い範囲からの出題がされます。
したがって、民法、憲法、刑法を勉強を始める初期のころに、まずは司法書士試験用のテキストで勉強し、勉強がある程度進んだ段階になってから、不動産登記法、商業登記法、民事訴訟法などに進めるというのが、早期合格のためには効率がよさそうです。
法学部出身の人であればすでに持っているかもしれませんが、基本書的なものは、使わなくてもよいかと思います。
民法、商法、会社法などは基本書があってもよいですが、司法書士試験用にまとめられたテキストだけでは不明な点などを参照するための程度にしておいた方が、効率がよいでしょう。
なお、どの法律系資格試験でもそうですが、判例つき六法は、自分が使いやすいと思ったものを手元に持っているのがよいと思います。
令和3年度司法書士試験問題・午前の部
午前の部・憲法
午前の部・民法
午前の部・刑法
午前の部・会社法
令和3年度司法書士試験問題 法務省
試験問題(午前の部)[PDF] 法務省
令和3年度司法書士試験問題・午後の部
午後の部・民事訴訟法
午後の部・不動産登記法
午後の部・商業登記法
不動産登記法(書式)・記述式
商業登記法(書式)・記述式
令和3年度司法書士試験問題 法務省
試験問題(午後の部)[PDF] 法務省
令和3年度司法書士試験筆記試験(記述式問題)の出題の趣旨
司法書士試験筆記試験の記述式問題の出題の趣旨については、法務省が公表しています。
【第36問】(不動産登記法)については、問1から問4までありますが、問1についての趣旨は、下記の通りです。
「問題文に記載された事実関係及び別紙として示された資料から、会社分割を登記原因とする所有権の移転の登記並びにその前提として必要となる所有権の登記名義人の住所及び名称の変更の登記を申請すべきことを読み取った上で、申請情報及び添付情報の内容並びに登録免許税の計算方法についての理解を問い、その正確な記載を求めるもの」
【第37問】(商業登記法)については、問1から問3までありますが、問1についての趣旨は下記の通りです。
「株主名簿管理人の設置、新株予約権の発行及び会計監査人の変更につき、提示された資料から読み取り、株主名簿管理人を設置するための要件,種類株式発行株式会社における新株予約権の発行に関する手続、定時株主総会において別段の決議がされなかったときの会計監査人の再任等に留意しながら、登記の申請書を正確に記載した上、当該申請書の添付書面を特定し、納付すべき登録免許税の額を正確に計算することを求めるもの」
令和3年度司法書士試験筆記試験(記述式問題)の出題の趣旨[PDF] 法務省
関連ページ:
関連ページ:
■このページの著者:金原 正道