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MovableTypeとWordPress、CMSのSEO効果を比較-ariadnet

MovableTypeとWordPress、CMSのSEO効果を比較 |2021年02月13日

2021年現在、ブログあるいはCMS(コンテンツマネジメントシステム)をサーバーに設置するツールとしては、WordPressのシェアが圧倒的になりました。
2005年前後には、MovableTypeとWordPressとが代表格だったわけですが、CMSの変遷については隔世の感があります。

ところで最近、ネットや書籍を見ると、WordPressの利点として、下記のようなことがいわれています。

・無料である
・インストール・サイト構築が簡単
・ユーザー数が多く、情報が豊富
・テンプレートがたくさんあり、デザイン変更が容易
・デザインのカスタマイズができる
・プラグインが数多くあり、機能をカスタマイズできる
・テンプレートやプラグインにより、SEO効果がある
・投稿や編集が簡単

しかし、無料であることやユーザー数が多いことはその通りとしても、有利だといわれていることの多くは、数あるCMS(コンテンツマネジメントシステム)のメリットであり、WordPressならではの利点ではないことがわかります。
また、SEO効果にいたっては、やや疑問に思うところもあります。
かつては、WordPressはSEOには不利といわれ、デメリットとしてあげられていたものでした。

MovableTypeとWordPressとの大きな違い

WordPressのメリットと最近言われている点は、あけまでもCMSのメリットであって、
・テンプレートがたくさんあり、デザイン変更が容易
・投稿や編集が簡単
などはどのCMSでも基本的に同じです。

バージョンアップを重ねるにつれ、WordPressもMovableTypeも、さまざまな機能を増やすとともに、テンプレートやテーマを変更することで、テンプレートのhtmlやタグ、プログラムの記述を直接書き換えなくても、デザイン変更ができるようになりました。

もっともその分、個人ブロガーにとっては、MovableTypeの機能は過剰ともいえるほどに複雑化しています。
個人ライセンスでアフィリエイトはできるものの、商用利用にはそこそこの費用がかかります。
このため、かつての旧バージョン(MovableType3)の頃にあったような個人ユーザーの熱気にも似た人気は離散してしまいました。

一方、WordPressはといえば、MovableType独自のタグに比べても、テンプレート内のphpの記述はとっつきにくいことがあります。
しかも、WordPress独自のルール、たとえばファイル名の優先順位の規則などが多く、htmlで自由に記述できるMovableTypeに比べて、ブラックボックス化しているように思えます。

・デザインのカスタマイズができる
といっても、WordPressとMovableTypeとの間には、考え方の差が大きいように思います。

静的htmlサイト構築の代表格、MovableType

WordPressとMovableTypeとの違いは、なんといっても、MovableTypeは新規投稿や編集をした際に、サイトの再構築を行い、あらかじめ閲覧者がアクセスするhtmlファイルを生成しておくことです。
MovableTypeで制作されたサイトは、ホームページ制作ソフトなどで制作しFTPでアップロードしたサイトと同じ、静的htmlサイトなのです。

これに対し、WordPressでは、閲覧者がアクセスし、ファイルを要求してからデータベースとテンプレートを参照し、htmlファイルを生成して閲覧者のブラウザに返すというプロセスをたどります。
あらかじめhtmlファイルを生成してあるのと、どちらが高速であるかは自明のことでしょう。

静的htmlはSEOに有利か

googleのCore Web Vitals(コアウェブバイタルズ)の考え方で、表示、閲覧が警戒にできるサイトが有利といわれています。
しかし、極端に表示が遅くない限りは、それだけで検索順位を落とされるというものでもないと思われます。

通信環境の改善や、サーバーでの処理速度の改善施策などにより、WordPressの動的ファイル生成が、SEOにそれほど悪影響をもたらすとも思えません。

ただ、最近のgoogleなど検索エンジンの検索結果には、シンプルなhtmlサイトが入っているなと感じることも多くあります。
CMSの種類とは別に、最近やたらと目につく、意味のない大きなアイキャッチ画像などの多用の影響もあるかもしれません。

WordPressにはプラグインが数多くあり、機能をカスタマイズできるという点も、あらかじめhtmlファイルを生成するMovableTypeと比較して、WordPressで制作されたサイトの処理速度が遅い原因になることもあります

WordPressでは、特に動作が早くなるための対応を推奨し、たとえばサーバー選択、プラグインやJavaScript、カルーセルや動画埋め込み等を極力減らすことが望ましいと考えています。

WordPressとMovableTypeとの比較表

WordPress MovableType 備考
価格 無料 有料(アフィリエイトは無料)
無償ライセンス 制限なし サーバー1台
サポート 無し(コミュニティあり) 有り(有償)
セキュリティ対応 無し 有り(現行バージョンのみ・有償) WordPress対象の不正攻撃多い
サポート付クラウド等 無し 有り(有償) WordPressのセキュリティ対策、バージョンアップ等の有償サービスは一部業者にあり
書籍やネットでの情報 多い きわめて少ない
有償・無償テンプレートの種類 多い 少ない
デフォルトのカテゴリー構造 SEOのためカスタマイズするべき SEOのためカスタマイズするべき
デフォルト・テンプレートのSEO対応 SEOのためカスタマイズするべき SEOのためカスタマイズするべき メタタグ自動生成
HTML5セマンティック・ウェブ対応タグ
他、有償テンプレートであっても不十分なものが多い
有償テンプレートのテーマ デザインは良好なもの多い
有名なテーマでも、articleやsectionタグを間違って使っているものあり
数は少ないがデザインは良好なものあり メタタグ自動生成
HTML5セマンティック・ウェブ対応タグ
他、有償テンプレートであっても不十分なものが多い
静的html ×(プラグインで対応は可能) メインサイト、準メインサイトでは
静的htmlが望ましい
プラグイン いくつも使うほど動作が遅くなる
SEO用プラグインのせいでtitleタグやdescriptionタグがダブって2つずつある誤ったサイト多数
テンプレートのカスタマイズでほぼ対応でき(※)、静的htmlで出力 ※特殊なプラグインは除く
利用者数・シェア 日本では80%超 大企業、上場企業ではトップクラス
サポート人材 多い 少ない
スキルの活用機会 デザインやカスタマイズなどの仕事多いが、人材も飽和 デザインやカスタマイズなどの仕事は少ないが、人材が足りない

WordPressを使うか、MovableTypeを使うか、そのポイント

CMS選びだけでのSEO効果の違いはわからなくなってきている

比較表に書いたように、静的htmlの方がSEOに有利とはいえ、10年前であればその違いがある程度体感できたものの、現在はほぼ感じません。
その原因が、WordPressのプラグインによるものなのか、サーバーの高速化などによるものなのか、筆者にはわかりません。おそらくサーバーや通信回線の性能が全体的に向上していることはあるかと思います。

長くどちらかを使ってきた人は、SEO効果を理由として乗り換えるほどの理由はない

そうすると、その程度の違いのために、新規にMovableTypeを覚えるとか、逆にテーマ(テンプレート)やプラグイン、情報の豊富さからWordPressを選ぶというのは、これまで長くどちらかを使ってきた人には現実的ではないかもしれません。

WordPressを使うなら

WordPressを使うためのレンタルサーバー選び

インストールが簡単になったため、設置後に使うだけなら高度な知識も不要

現在、WordPressのレンタルサーバーでのインストールは、きわめて簡単な操作でできるようになっています。
テーマの設定や入れ替えについても同様です。
テンプレートをカスタマイズできる知識は、いずれ少しずつ勉強してスキルアップするべきと考えますが、とりあえず設置後に使用する分には、それほどの知識は必要としません。

バージョンアップとセキュリティ対策を考えるべき

既にWordPressを使用している人、テンプレートの簡単なカスタマイズ等ができる人は、そのままWordPressを使うことで特に問題ないものと思います。

むしろ、CMS選びには、セキュリティ面と、バージョンアップなどのサポート面に、重きを置くべきかと思います。
この点では、サポート付きのクラウドサービスが一番で、次いでレンタルサーバーでサポートが充実している会社となります。

WordPressは、レンタルサーバーでは簡単にインストールできる機能はあっても、セキュリティやバージョンアップについて基本的には自分で対応しなければなりません。

特に、サーバーログを見ると、毎日のように膨大な不正アクセスがあり、ほとんどがWordPressに対する不正アクセス目的のログです。
MovableTypeを標的とした不正アクセスは少なく、筆者はインストールもしていないのに、WordPressを設置した場合にできるフォルダ名や、データベースログインのURLに対する不審な無差別アクセスがあります。

ウェブサイトのアクセス解析では、これらの不正アクセスは見られません。
一度サーバーログを確認してみるとよいでしょう。

ビジネスにはwordpress.comの利用も一考

有料サービスで同時ドメインを使える、WordPress.comがあります。
パーソナルプラン(月額500円)、プレミアムプラン(月額900円)、ビジネスプラン(月額2900円)、eコマースプラン(月額5220円)があります。

ネットを見ると個人ユーザーの評判はいま一つです。
しかしビジネス利用の場合には、バージョンアップやセキュリティの面から、利用するのも一案です。
企業でもWordPressを利用することは多くありますが、上場企業や大企業がMovableTypeや、その他の有料の国産CMSを使用していることを考えても、セキュリティ面についてはよくよく考えるべきです。

よくある個人情報流出のニュースのうちの、CMSなどの脆弱性を突いた攻撃が原因となったものも多くあります。

高速化対応

高速化のための対応は考えるべきです。
ネット回線は十分に高速になっているため、今日では、静的htmlかどうかで、速度に体感できるほどの差はありません。
ただしWordPress利用を意識した、高速化をうたうレンタルサーバーがいくつかあります。

テーマとプラグイン選びの注意点

WordPressはユーザー数が多いため、無償、有償のいずれもテーマが多く、デザイン面や、装飾などの入力の面で優れたテーマ、テンプレートが多くあります。

ただし、SEOに最適とうたいながら、articleタグやsectionタグなど、検索エンジンにコンテンツブロックの意味を伝える重要なタグの間違った使い方をしているテーマがけっこうあります。
かなり有名なテーマでも、有償テーマでも見られます。

また、SEO用に、titleタグやdescriptionタグを入力するプラグインがあります。
これらを使用しているサイトは多いものの、もともとのテーマで設定されているtitleタグやdescriptionタグと、SEO用プラグインで入力したtitleタグやdescriptionタグとが、ダブって2つずつ記述されている誤ったHTMLのサイトがかなり多く見られます。
googleがtitleタグを書き換える一因になっているものと思われます。

WordPressのインストールが簡単になり、HTMLをいじったり、FTPをしたりしなくても利用できるようになっている分、知識のないユーザーも増え、このようなことになっていると考えられます。

MovableTypeを使うなら

MovableTypeを使うためのレンタルサーバー選び

インストールが簡単、不要なサービスもあり、設置後に使うだけなら高度な知識も不要

MovableTypeについては、インストールも不要な、独自ドメインやテーマ、cssなどの変更が可能なクラウドサービスがあります。
MovableTypeの開発元のシックス・アパート社が提供しているものです。

レンタルサーバーでも、シックス・アパート社の公式サポートがついたレンタルサーバーがごく一部にだけあります。

これらを利用するには知識もいらず、バージョンアップやセキュリティの面からも安心です。

簡単インストールのレンタルサーバーでも、熟練者以外は最新バージョンを

それ以外のレンタルサーバーでは、インストールは、きわめて簡単な操作でできるようになっているサーバー会社はありますが、最新バージョンか、そうでない古いバージョン(オープンソースのバージョン5)を確認する必要があります。

動作環境

「Movable Type 7.0」は Perl5.10.1 + MySQL5.1 が動作要件です。
それ以前のバージョンでも同程度で動作しますので、ほとんどのレンタルサーバーで設置可能です。

ライセンス

個人名義で趣味のブログ等を公開する目的(アフィリエイト含む)では、個人無償ライセンスが利用できます。
商用サイトでは、必ずライセンスのご購入が必要となります。

最新バージョンを簡単にインストールできるのであれば、とりあえず設置後に使用する分には、それほどの知識は必要としません。

レンタルサーバーでは、バージョンアップとセキュリティ対策を考えるべき

レンタルサーバーに設置する場合には、MovableTypeへの不正アクセスは少ないものの、バージョンアップとセキュリティに気をつけることは、WordPress同様に必要です。

最新バージョンでなくても、ライセンスの問題がクリアできていれば、継続使用は可能です。
ただし、セキュリティの脆弱性などの問題から、サポートやアップデートがされていませんので、機能を制限し、セキュリティ対策を行ったうえでの自己責任での運用となります。

オープンソース版(5.2、5.3)や旧バージョン(4や3.3等)はサポートが終了しています

筆者の個人的な感想としては、古いMovableType3はデータベースやPHPを設定、使用しなくてもサクサク動作したので、きわめて優秀なCMSだったのですが、機能は制限されてもまた同程度の個人向けバージョンがあればいいのにと思います。

mt.cgiのみを使用し、検索、コメント、トラックバック他の機能を使用せず、ファイル名やディレクトリ名の変更、SSL化、管理画面のベーシック認証などの対策をすれば、実際に問題が生じることはほぼありません。

Movable Type を安全に利用するためにできること 外部サイトへ


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■このページの著者:金原 正道

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